取り置きや電話での注文はお断りさせていただいております。

お電話で「取り置きできますか?」と聞かれることがあるのですが、大変申し訳ないのですが、チーズのこえでは、取り置きをご遠慮いただいております。
本当は、少し融通きかせればいいとは思っているのですが、冷蔵庫がパンパンで、取り置き用の場所がないというのがひとつ。
もうひとつは、よく来られる方ならともかく、「電話一本でとりあえずキープしておいて、取りに来るかわからない」方もいらっしゃるので、その線引きが難しく、一律にお断りしているというのがひとつです。

北海道にいるときから、たくさんの飲食店の方々と大変仲良くさせていただいてます。やはり農業関係の仕事をしてきて、素晴らしい農畜産物を彼らとつなげ、つかってもらい、その価値をもっと広げていきたいと思ったからです。現在も、チーズのこえを通じて、全国の素晴らしい料理人の方とも知り合えるようになりました。

彼らと話をしていると、昨今、飲食店への予約のドタキャンがかなり多くなってきているとお聞きします。
丹精込めて仕込んだものが、電話一本で無駄になってしまう。
また、ほかのお客さんをお断りして用意していた席が、電話一本でキャンセルされてしまう。

最近は、複数のお店を予約しておいて、当日になりほかの同行メンバーの気分によって、お店を決め、ほかのお店をキャンセルすることが「デキル幹事」と雑誌で取り上げられるものもあるそうです。正直、なんて倫理のないことが、堂々とまかりとおるようになってしまったのでしょう。
また、実店舗でさんざん試着して購入せず、ネットで購入するのが「買い物上手」と自称するCMが流れていますが、これもなんて節操のないものだと感じ、恥ずかしく思います。
何でも価格比較。何でも効率主義。こうやって、町の商店はつぶれていきます。

対面で買うということは、その商品を売るだけではなく、その商品の特性を説明してもらい、衣服なら組み合わせ、食べ物ならその背景などを教えてもらうという価値も含んでいます。
さんざん聞いて、あとはネットで、というのは、情報の万引きに近いと思っています。。

キャンセル料がかからず、すべて電話一本で片付く便利な日本です(欧米のハイクラスのレストランでは、ネット予約時にクレジットカードでの担保が必要なところも)が、それは互いの信頼関係に基づいているからこそ。
その料理の向こう側にある、作り手、食材、食材の作り手のことまで想像してみるというのは、チーズのこえの考える理念と同じです。

そんな世の中を取り戻していきたいと思います。