いつも毎週土曜日に届く「白糠酪恵舎」のモッツァレラ、
リコッタですが、諸事情により明日は届きません。日曜日
になります。
せっかくの〜6/
9〜清澄白河おやさい市場の日、リコッタチーズとパッショ
ンフルーツを食べたらおいしいだろうな~!なんて思って
いたところだったので、とても残念ですが、1日お待ちく
ださいね。
さて、今回の「諸事情」についてです。
工房が、いつも生乳を使わせていただいている酪農家のところに生乳を取りに行ったところ、連絡の行き違いで、すでにホクレンのタンクローリーが、生乳を集荷して持って行ってしまい、酪農家が搾った生乳を入れておく「バルククーラー」という大きなタンクの中はからっぽだったため、チーズが作れなかったとのことで、大変申し訳ないとご連絡をいただきました。
北海道では、酪農家1戸あたりの牛の頭数は123頭。
(規模拡大に加え、1軒当たり500頭とか3000頭とかを飼養するメガファーム、ギガファームの出現で、平均して飼っている頭数は、平成2年56頭、平成7年74頭から、四半世紀で倍近くになっています。)
北海道の職人が作るチーズ工房の数は増えていますが、小さな工房が仕込むのに使う生乳の量というのは限られています。
なにせ、123頭の牛がいて、経産牛と言われる現役で乳搾りをしているお母さん牛の割合が59%。(あとはお母さん予備軍だったり、子牛だったり。これが、都府県だとお母さん牛の割合は72%。これは、子牛を飼っておくだけの餌となる草地の面積が北海道に比べてないため、まもなく出産を迎えるプレママを北海道から買ってくることが多いためです)
話を戻しますと、123頭×59%=73頭の牛が、毎日約25kgくらいの生乳を出してくれると考えると、1日で1.8トンの牛乳がたまるわけです。
小さなチーズ工房で、そのすべての量をチーズとして製造できるわけがありません。
その一部を、チーズ製造のためにいただき、残った部分は、ホクレンのタンクローリーが、2日に一度、大きな規模の牧場では、毎日集荷しに来てくれて、明治乳業、雪印メグミルク、森永乳業、よつ葉乳業などの乳業工場に運ばれ、チーズになったり、バターになったり、練乳になったり、生クリームになったり、様々な用途に加工されます。
北海道の生乳生産量は、390万トンですが、皆さんがスーパーで見かける「牛乳」に仕向けられるのは、四分の一程度の93万トンにすぎず、ほとんどが加工向けになっています。また、その93万トンのうち77万トンは、本州向けに送られ、「北海道牛乳」として皆さんの食卓にのぼっています。
六次産業化がもてはやされていますが、酪農家は、搾乳や餌やりだけではなく、子牛の世話、広大な草地の管理、牧草の収穫、たい肥の散布など、たくさんの仕事があります。
そのなかで、加工までやって所得をあげようということよりも、餅は餅屋、素晴らしい生乳を搾り、その乳を、技術ある職人にバトンタッチし、素晴らしいチーズに仕上げてもらうことも、とても理にかなったものではないかと思います。
(もちろん、できる人はやったらいいと思います。補助金ありきではなく。)
そして、日々の生乳の売り先に頭を悩ますことなく、お互いの助け合いの中で、生乳は一括して農協が買い取る仕組みがあるからこそ、酪農業に専念できるのです。
明日届かないモッツァレラではありますが、このことをきっかけに、生乳の流通の話に、少しでも関心をもっていただけたら幸いです。